日本人の心に根深く刻まれた「お金を稼ぐことへの心理的ハードルと複雑な感情」

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心理的ハードルを越える コラム

失敗への過度な恐怖心

日本社会のもう一つの特徴は、失敗に対する異常なまでの恐怖心です。「失敗は恥ずかしいこと」「一度失敗したら二度と立ち上がれない」。そんな固定観念が、新しいことにチャレンジする意欲を削いでいます。

アメリカでは「失敗は成功への学び」として、むしろ経験値として評価される場合があります。起業に失敗した人が、その経験を買われて大企業に迎えられることも珍しくありません。

しかし日本では、失敗した人は「能力がない人」「リスク管理ができない人」としてレッテルを貼られがちです。

この文化的背景があるため、私たちは無意識のうちに「失敗しない選択」を優先してしまいます。新しい副業を始めることも「失敗するかもしれない」という不安が先に立ち、なかなか一歩を踏み出せない。たとえ成功の可能性が高くても、少しでもリスクがあると躊躇してしまうのです。

 

現状維持バイアスという見えない鎖

心理学の世界では「現状維持バイアス」という概念があります。これは、変化によるリスクを過大評価し、現状を維持することの利益を過大評価してしまう心理的な傾向のことです。サラリーマンとして安定した生活を送っていると、この現状維持バイアスがより強く働きます。

「今の生活で特に不満はない」「わざわざリスクを取る必要はない」「副業なんてしなくても生活はできている」。こうした思考パターンは、一見合理的に見えますが、実は機会損失を生んでいる可能性があります。

例えば、月に5万円の副収入があれば、年間60万円、10年で600万円の差が生まれます。しかし、現状維持バイアスによって「今のままでいい」と感じてしまい、この大きな可能性を見過ごしてしまうのです。

さらに、サラリーマンという立場にあると「安定している」という錯覚に陥りがちです。終身雇用制度が崩壊し、大企業でもリストラが当たり前になった現代でも、多くの人が「会社員でいれば安心」と信じています。しかし、これも現状維持バイアスによる思い込みかもしれません。

 

家族や周囲の目という見えないプレッシャー

お金を稼ぐことへの心理的ハードルは、家族や周囲の人々の反応への不安からも生まれます。日本社会では「分相応」という概念が根強く、身の丈を超えた収入を得ることに対して批判的な目を向けられることがあります。

「急に羽振りが良くなって、何をしているんだろう」「副業なんて、本業がうまくいっていない証拠じゃないか」「ギャンブルみたいなことをして、家族に迷惑をかけるのではないか」。こうした周囲の声や視線を想像するだけで、新しいチャレンジへの意欲が萎えてしまいます。

特に、家族がいる場合、この心理的プレッシャーは強くなります。「家族を養う責任があるのに、リスクのあることはできない」「安定を求める配偶者に反対される」「子供の教育費がかかるのに、投資や副業にお金を使うのは非常識」。こうした思考が、新しい可能性への扉を閉ざしてしまうのです。

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